芸の肥やし
2023.3.31 毎日投稿 第88回
よく歌舞伎役者や俳優が不倫などの夜遊びを「芸の肥やし」にするという話を耳にするが、どうやって肥やしにしているのだろう。
まぁ、古い時代の小説家も現地妻だとか、いろいろとエピソードには事欠かないが、性欲の捌け口にするという下卑た行為の言い訳ではないだろうか。
理屈としては、まぁ理解できなくはない。
俳優で言えば、不倫の経験がそのまま役作りに繋がりそうだし、小説の内容が不倫を題材にしたエロ小説だったら不倫の経験が生かせるのかもしれない。
しかし、不倫をする理由というのは、単純にセックスがしたいという欲望を満たしたいだけのように思える。
僕は、責任が持てるなら好きにしたらいいと思うし、もしも親がそういうことをしていたらショックではあるが、まぁ、許せないとまでは思わないと思う。
出来るだけ墓場まで持って行って欲しいが。
体裁を保つ言い訳の一つに過ぎないと、僕は考えているが、それは僕自身の経験不足による童貞臭い決めつけだろうか。
セックスをしたいという欲望も分るし、夫婦間では儘ならない癖というのがあるのはわかるのだが、家庭や社会的地位を脅かす程のリスクを冒す程の魅力があるようには思えない。
こういった価値観は、僕自身が凡俗であるが故だろうが、様々な不倫報道を観るたびにそう考えている。
不倫した後、家に帰った時、洗い物をしている奥さんや、出迎えてくれる子供の顔を観てどう思うのだろうか。
勿論、奥さんにも同じことが言えるだろうが。
幸いにして僕は、家族の崩壊を経験せずに済んでいるが、テレビやネットなどで不倫の文字を観るたびに、家族が気の毒だなぁと思えてならない。
失った信頼は、どんなに時が経とうと回復できないのだ。
まして今の時代、人類が滅亡しない限りは記録に残ってしまう。
これも時代の変化とも言えるが「芸の肥やし」という言い訳も使えなくなってしまった。
清廉潔白を求める風潮に反して、えげつないうらの顔がすぐにバレてしまうようになった。
僕はそんな心配はないが、世の中の性欲強めな人には生きずらい世の中だろう。
鯉庵