ヘルドックス 地獄の犬たち
2023.7.20 毎日投稿第199回
原作よりも先に劇場で映画を観たのだが、結構な違いがあって面白かった。
映画版は、ストーリーや登場人物の描写よりもアクションに全振りしていた印象だったが、原作では主人公、兼高昭吾の葛藤にフォーカスが当たっている。
大まかなストーリーに違いはないが、映画版の兼高昭吾は、原作よりも覚悟の決まっている男であったのに対し、原作ではメンタルがズタズタになって行くさまがより鮮明に描写されている。
この作品は、凄腕の元潜入捜査官が、警察裏切って会長になっちゃったやっべどうしよ。
キミ(兼高昭吾)刑事になってやーさん潰したいって言ってたよね?
潜入捜査して、十朱(前任)の握ってる警察の弱み奪取してくれない?
出来たら刑事にしてもいいよ?
というわかりやすく悪人しか出てこない作品だが、極道の中でもかなりの汚れ仕事を任されているせいで兼高昭吾(出月梧郎)がどんどん狂っていく過程が描かれる。
こういう作品を観るたびに、僕は「真っ当に生きよう」と誓うのである。
アウトロー系の作品は、共感やカタルシスは得られないモノの、真人間として生きる大切さを教えてくれる作品が多い。
僕は、原作よりも映画の方が好きだっだ。
なんというか、原作はちょっといろいろ薄味な気がする。
室岡のサイコ具合は、映画の方が俳優の演技もあって良かったし、小説の鉄火場シーンはちょっと地味だ。
まぁ、そこは小説という媒体の場合、そうなりやすいので致し方ないのかもしれない。
近いうちに続巻も聴いてみよう。
鯉庵