86—エイティ・シックス—
2023.4.22 毎日投稿 第111回
86(エイティー・シックス)の1巻をオーディオブックで聴いた。
滅茶苦茶面白い。
まだ一巻目だというのに、完成度がえぐい。
アニメ化されているし、そちらを観ようとも思ったが、原作から聴こうと思ったのだが、なんというか、ここ最近で一番面白いと思った作品だ。
まず、世界観設定が面白い。
社会構造や人種差別人の邪悪さをごった煮したような複雑な構成をわかりやすい形でまとめている。
若干思想に偏りがある気もするし、崩壊しそうな差別構造もしっかりと作り込まれていて、自分では書けないだろうなぁという緻密さで書かれている。
なにより、1巻で完結しても可笑しくない完成度で、1本の映画を観終わったかのような読了感(正確には拝聴)があってとてもいい。
文章も読みやすいのに巧みな比喩や情景の文章が想像力を掻き立ててくれた。
特に人間の邪悪さが、ありありと伝わる差別思想は、フィクションといえど、現実味があり考えさせられる。
もしかしたら日本という国を皮肉ったのかもしれない。
戦死者ゼロの最前線という表現も最高に皮肉と洒落が効いていて素晴らしい。
作者に拍手喝さいを送りたい。
まだ、一巻だけなので、まだまだ続くのだがこれからどうなるかが非常に気になる所だ。
素晴らしいお手本のような完成度なので、見習おう。
1巻で映画一本分のクオリティーというのは、なかなかできない。
スタートからゴールまできっちり一本のストーリーラインに因縁が綺麗に絡み合って、複雑なのに終わってみればあの納得感。
本当にすごいと思う。
比べるのもおこがましいが、自分は出来てないなぁと痛感した。
アニメ版も近いうちに観ようと思う。
鯉庵