金の国水の国
2023.2.1 毎日投稿 第32回
年も明けて、月も変わった。
年々時が過ぎていく体感速度が上がっていく気がする。
正直、今日は何を書こうかということに気を取られることが多かったように思う。
たまには、映画の感想でも書いてみよう。
「金の国水の国」という映画を品川ステラボールで観た。
ウマ娘の舞台公演を観た次の日に、せっかく泊ったのだし、気になっていたからと思い切ってあのやさしさの欠片もない坂を再び登った。
映画の内容は、良くまとまっていて映像も美しかった。
仲の悪い国同士が長い戦争の果てに国交を結ぶという話である。
戦争勃発は非常に下らないご近所トラブルの類といってよいレベルなのだが、それが切っ掛けで戦争が起こるのだから怖い。
水の国と金の国は、停戦の条件に「賢い婿」と「美しい嫁」を渡すというシンプルな構図だ。
ところが、お互いの国のトップが「猫と犬」を贈るのだ。
この時点で、両国のトップは無能なのだが、それが切っ掛けで、ナランバヤル(水の国)とサーラ(金の国)は出会うことになるのだ。
正直僕は、この二人の恋愛模様にはさほど関心を持てなかった。
両者が惹かれていく描写も、愛くるしさも丁寧に描かれている。
しかし、そんなことよりも僕は終始二つの国のトップ同士が、あまりにも身勝手で無能なことに苛立ちしか感じていなかった。
まぁ、両国の国民も国民で偏見に満ちていて、いがみ合っていたのだし、トップだけを責めるというのも酷な話かもしれないが。
しかし、しかしである。
気に食わない、許せないという感情で国益を損なう蛮行を断行した二人は、無能の誹りを受けてしかるべきであると僕は思う。
水の国の族長は、国の発展には目もくれず贅沢な暮らしを自分だけが享受していたし、金の国の王は「歴史に名を遺す」ということに固執していた。
サーラの姉、レオポルディーネの方が、まだ国の事を憂いていたように思う。
結末に関しては、雨降って地固まるという具合だったし、悪くないとも思えたが、なんとも言い難い苛立ちが残ってしまった。
ただ、こういう映画は、何度か観てみると、違う感想を抱く可能性があるので、アマゾンプライムで配信された暁には、もう一度この映画を鑑賞するのもいいかもしれない。
鯉庵