リアリティ高尚主義
2023.2.22 毎日投稿 第52回
創作物に於けるリアリティについて、個人的にはあまりこだわる必要はないと僕は考える。
勿論リアリティを追求することはいいことだとは思うが、それだからリアルだから素晴らしいという事もない。
例えば、漫画やアニメでよくある格闘シーンなどでも、リアリティを重視すると、地味になりがちだ。
総合格闘技などの試合では、打撃技より寝技が重宝されるが、見ている側(僕)からすると面白みに欠けてしまう。
刀の居合や剣術なども、漫画やアニメのような、派手さはない。
エンタメ性があるのが、創作のいいところでもある。
刃鳴散らすというADV作品がある。
ニトロプラスから発売された作品であるが、この作品には経験者特有のリアリティがある。
物語の序盤、主人公の所属する組織がテロリストに襲撃を受ける。
その時に朱音がテロリストを5人斬った段階で「刃こぼれしないいい刀だ」というモノローグが入る。
多くの物語で、刀を武器に戦うことはポピュラーであるが、大体の作品では100人斬っただとか千人斬っただとか膨大な数を盛りがちである。
僕の感想として「5人斬ったら普通は刃こぼれするんだ!」という衝撃が在ったことを覚えている。
僕は日本刀を持ったことすらないし、妄想の中のアクションでしか描写することが出来ないのである。
知識として、蓄えることは出来ても経験には勝てないだろう。
けれど、そのこと自体は割り切って書けばいいと思うのである。
僕は、家族旅行でハワイに行ったとき、狙撃場に行ってベレッタを撃ったことがあるが、漫画やアニメで観るような描写はファンタジーであると肌で実感した。
銃を片手で持って、横向きに撃ったり、二丁拳銃で乱射などファンタジーでしかありえないのである。
しかし、そのファンタジーな妄想を創作で表現することは、悪い事ではない。
世の中には、リアリティが至高であり、そういう妄想誇張表現を下に見る人たちがいるが、どちらもいいところと悪いところがあるのだから重箱の隅を楊枝でほじくるような指摘や発言はしない方がいいと僕は思う。
鯉庵